いったいどうなってるのか、安倍内閣

予てから指摘されていたとおり、農水相が辞任することになった。政務官も同時に辞表を提出している。いったいどうなっているのか。
安倍内閣が始まって以来、農水相は辞任が2人、自殺が1人、大臣の交替はこれで5人目だ。しかも、今回に至っても「更迭」ではなく「辞任」で指導力はまったく発揮されなかったし、任命責任についても今のところ口を閉ざしたままだ。


農相辞任:遠藤農相、安倍首相に辞表提出(毎日新聞 2007年9月3日(月))

遠藤武彦農相は3日午前、首相官邸安倍晋三首相と会い、自らが組合長を務める農業共済組合による補助金不正受給問題の責任を取り、辞表を提出した。改造内閣発足後、1週間で閣僚が辞任に追い込まれる事態となった。安倍内閣での閣僚交代は5人目。
また、坂本由紀子外務政務官も同日午前、架空の会議費用を政治活動費として計上していた問題の責任を取り辞表を提出した。



遠藤農相:3日に辞任 内閣改造1週間、補助金不正で引責(毎日新聞 2007年9月3日(月))

(前略)
改造内閣発足後、わずか1週間で閣僚が辞任に追い込まれる異例の事態で、首相の任命責任が問われることは必至。参院選惨敗で政権立て直しを図る安倍内閣に大きな打撃を与えることは確実だ。
遠藤農相の関係者によると2日夜、与謝野長官に「これ以上みっともないことにしたくない。やめたい」と辞意を伝えた。
(中略)
昨年9月の安倍政権発足後、農相は環境相を兼務した若林正俊氏を除き、自殺した松岡利勝氏、不明朗な事務所費問題で安倍首相に更迭された後任の赤城徳彦氏に続き、事実上、3代連続での途中交代。後任人事は難航も予想されるが農相経験者の起用を軸に調整が進められる見通しだ。
(中略)
安倍政権では、農相のほか、行政改革担当相だった佐田玄一郎氏、防衛相だった久間章生氏も辞任しており、発足から11カ月で5閣僚が不祥事などの事情で交代することになる。



坂本外務政務官:架空会議費計上で辞任へ(毎日新聞 2007年9月3日(月))


相次ぐ閣僚の不祥事、辞任・交替も原因となった参院選大惨敗の結果を受けての内閣改造に先だって、慎重に「身体検査」をしたあげく、こうしたふがいない体たらくを晒すことになった、首相を始めとする内閣、自民党の責任は重大だろう。わけても農水相については、1年も経たずに3人もが職責を全うすることなく交替を余儀なくされるという唖然とするばかりの異例中の異例の事態を引き起こしている。農林族を含めた自民党にいかにロクな人材がいないか露呈してしまうという、マコトにハズカシイ状況だ。
伊吹氏が辞めずにいるのも不思議でたまらない。一部には「不正と事務所費問題はまったくベツモノ」というような声も聞こえてきたけれど、伊吹氏に関わる事務所費問題も不正行為に変わりなく、今回の不正の指摘と別にするわけにはいかないシロモノだ。閣内から去ったことでうやむやにしようとしている菅前総務相の問題だって、国民の血税を自分のポッポに入れるというズルに他ならない。他にもいろいろな不正を誤魔化して政府や自民党の要職に就いているものがいるけれど、どうにも納得のいかないことばかりだ。
事務所費の申告についてよく税務申告と比較されてすでに何度も指摘されているけれど、根本的に違うのは、税務申告は税金の控除額を決めるためのものであるのに対し、事務所費は申告した金額をまるまる手に入れるための手続きであることだ。どちらがより厳しくチェックされるべきか、よく考えるまでもなくわかることだ。
添付しなければならない領収書についても「1円から領収書が必要なんて現実的じゃない」とか「領収書が取れない場合がある」などと厚顔にも言い募るモノが多いが、国民は領収書の原本を添付しなければ1円だって認めてもらえないのだ。計算違いや書類不備だって厳しくチェックされる。それと同じことができないというのであれば、何様のつもりか、と指弾されても仕方がないだろう。
新内閣発足からまだ日が浅いということももちろんあろうけれど、今回の農水相問題について安倍氏の発言はほとんど聞こえてこない。麻生氏と談合したけれど、表向き誰にも相談しないで自分だけで決めるモン、と言いつつ慎重に「身体検査」をして「適材適所」に腐心したのだから、任命権者としての責任は特に重い。彼がはめ込んだコマはおよそ役に立たないものばかり、ということになる。
いつまでもこんな内閣に任せておくことはできない。やはり早期に衆院を解散し、国民に信を問うしかないだろう。