テロ特措法延長だけが問題ではない

記者の質問に、目を泳がせながら「当然、職責にしがみつくことはございません」と言い放った。もちろん、テロ特措法延長だけが職を賭すに値する問題ではなく、政治資金関連だけでも大量の不祥事が吹き出している件や年金について等々、すでに政権を維持できる状態にないのだから、すぐにでも退陣するのが妥当だ。少なくともこのように言いはなった以上、国民にきちんと説明もせず信をも得ずに「国際公約」などと勝手に決めつけたことについて為すことができなければ、即刻退場していただこうではないか。民主党他野党諸氏も腰砕けで中途半端にならないよう、一気に押し切って乗り越えていただきたい。


安倍首相:給油活動継続「職を賭していく」会見で退陣示唆(毎日新聞 2007年9月10日(月))

(前略)
国会の召集を前に首相が重要案件を巡り自らの進退にまで言及することは、極めて異例。会見で首相は給油継続を「国際的な公約」と改めて位置付け、「活動を継続するための法案を国会に提出し、成立を果たさなければならない。そのために職を賭していく考えだ」と述べた。記者団から「職を賭して」の表現について「(給油が継続できなければ)内閣総辞職する覚悟か」と問われ、しばらく考えた後、「私は職責にしがみつくことはございません」と語った。
(中略)
安倍晋三首相が9日、記者会見で語った主な内容は次の通り。
<冒頭発言>日米豪で初の首脳会談を行い、米豪首脳から「テロとの戦い」について日本の貢献に高い評価と謝意が表明された。私からは「テロとの戦い」を継続していく意思を説明した。ブッシュ大統領との日米首脳会談でも説明した。国会は大変厳しい状況だが、国際的な公約となった以上、私には大きな責任がある。自衛隊の補給活動を継続させるためには、あらゆる努力を行わなければならないと決意している。民主党をはじめ野党の理解をいただくために職を賭して取り組んでいく考えだ。


−−臨時国会ではテロ特措法を延長する改正案を提出するのか、初めから新法を提出するのか。法案提出前に民主党など野党との党首会談を行う用意はあるか。
自衛隊の補給活動を継続していくための法案を国会に提出し、成立を果たしていかなければならない。提出にあたって野党、特に民主党の理解をいただくために最大限の努力を払わなければならない。そのために職を賭していく考えで臨んで理解を求めていかなければならない。小沢(一郎民主党)代表との党首会談もなるべく早い段階でお願いをしたい。


−−「職を賭す」と言ったが、(給油活動)継続がかなわなかった場合、内閣総辞職する覚悟か。
◆ 私が申し上げたのは、継続を可能にするためにはあらゆる努力を払わなければいけないということだ。私の責任、職責において、あらゆるすべての力を振り絞っての職責を果たしていかなければならない。(しばし沈黙し、司会が「それでは次は」と次の質問者に振ろうとしたのをさえぎって)当然、私は職責にしがみつくということはない。



野党は反発し、与党は混乱の様相。


安倍首相会見:退陣示唆発言 与党にも当惑と動揺(毎日新聞 2007年9月10日(月))

大島理森自民党国対委員長
「強い決意が発せられた」
「首相は国民にも野党にも理解してほしいという思いだろう」


漆原良夫公明党国対委員長
「不退転の決意で臨むという姿勢を強調したものだ」


自民党幹部
「戦略なき暴走だ」
「これから国民の理解を得る努力をするのに、結論を先に言うような発言は、正直言って迷惑だ」


加藤紘一自民党元幹事長
「最初から最後のカードを切ってしまった。潔い発言だが、国会戦略、外交戦略としてはもっとしたたかであってほしい」


公明党幹部
「真意が分からない」


鳩山由紀夫民主党幹事長
「首相の発言で我々がひるむわけがない。(給油活動の継続反対という)考え方や対応は変わらない。(法案が)通らなければ辞任してもらう」


民主党幹部
「(首相が小沢一郎代表との党首会談を呼びかけたことについて)何を話し合うのか分からない。『協力してほしい』と言うだけなら、会談する意味がない」


市田忠義共産党書記局長
「何が何でもごり押しするという脅しだ。解散総選挙で信を問うべきだ」



安倍首相会見:「すでに死に体だ」民主・鳩山幹事長(毎日新聞 2007年9月10日(月))

鳩山由紀夫民主党幹事長
「首相はすでに死に体だ。首相の発言で民主党の反対姿勢が変わることはない。首相の退陣を求めていく」


福島瑞穂社民党党首
「首相が職を賭してもテロ特措法の問題点は変わらない。野党で結束して廃案に追い込み、安倍内閣の退陣を求める」



前日には解散・総選挙について「まったく考えていない」と言っていたのに、よほど自信がなくなったか。


安倍首相:海自給油活動、国際公約に 継続へ退路断つ 撤退なら、責任論不可避(毎日新聞 2007年9月9日(日))

(前略)
◇安倍首相発言・要旨
(中略)
衆院解散・総選挙>今、全く考えていない。(給油活動継続の責任が果たせなかった場合も)全く解散は考えていない。(問責決議案が可決されたとしても)考えていない。私は当然、それ(問責決議)は決議として重たいものだと。



羽田に到着し、にこやかに前を向くアッキーの手をしっかり握りしめ下を向いてタラップを降りる姿は哀愁を帯びてもいた。もう遅すぎる感もあるが、ホントにここが潮時なんだよ。早くお辞めなさい。