「誤解」とは傲慢な言いぐさ

「テロリスト」発言を陳謝=自民・中谷氏(時事ドットコム 2007年10月17日(水))

自民党中谷元・元防衛庁長官は17日午前、インド洋での海上自衛隊の給油活動継続に反対するのは「テロリストしかいない」と発言した問題について「反対する国民の皆様方がテロリストだととらえられたら、わたしの意図するところではない。誤解を招いた点はおわび申し上げたい」と陳謝した。
(後略)



国民をテロリスト扱いした中谷氏の「陳謝」の中身たるや、何か問題が起きるたびに多くの政治家が繰り返してきた「意図するところではない」「誤解されてしまったのは申し訳ない」という、陳謝とはほど遠い呆れたモノだ。
「誤解」というのは、広辞苑第五版によれば「意味をとり違えること。間違った理解をすること。思い違い」であり、受け手が正しく意味を汲み取らなかった、という意味だ。つまり「受け手の落ち度」という意味を内包する「誤解」を前提に、それについて「申し訳ない」と言ってみたところでそれは陳謝の意味を持たない。
誤解しなかったとしたらどういう意味に受け取るのが氏の「意図するところ」なのか、さっぱりわからない。きちんと解説してみてもらいたいものだ。
中谷氏が「テロリスト」と言ったのは事実であって曲げようがない。国民にも国会議員にも反対意見があるわけで、対象が国民でなかったとしたら、いったい誰のことを指して言っているのか。誰を指して言うのであっても、日本という言論の自由を担保された国で「オレの言うことに反対するヤツはテロリスト」などと決めつけるならば、政治家としての資質に欠格があると断ぜざるを得ない。


民主、自民・中谷氏の更迭要求 テロリスト発言で(朝日新聞 2007年10月16日(火))

民主党山岡賢次国会対策委員長は16日、自民党大島理森国会対策委員長と会談し、海上自衛隊の給油活動に反対するのは「テロリストしかない」と述べた同党の中谷元・元防衛庁長官について、「そういうお考えの方とはとても議論できない」と語った。中谷氏は衆院テロ対策特別委員会で自民党の筆頭理事。事実上、更迭を求めた発言だ。山岡氏は会談後の記者会見で「(審議日程の協議について)申し入れがあっても受けない」とも語った。
これを受け、大島氏は国会内に中谷氏を呼び、「これから民主党と協議して成果を上げないといけない時期。言動に注意してほしい」と厳重注意した。