ごく簡単に

昨今話題の「インド式数学」というのは面白いけれどどうもなじまないものがあるのだが、でも知恵というのはこういうものだろうとは思う。単に「台形の公式」を教え込むことじゃなかろうと。なぜ台形の面積を求める公式は「(上底+下底)×高さ÷2」と整理できるのか、ということを教えることなんじゃなかろうかと。
モノゴトを理解しようとするとき、自分の中にある、できるだけ単純な基準に当てはめ、分解し組み立て直してみるとわかりやすい。そのままをあるがまま受け取ることはなかなか難しく、苦痛を伴ったりもするものだ。取っつきで「こりゃ理解できそうもない」と感じたとき、どうにか自分の近くに引き寄せ、あるいは遠くから眺めて糸口を掴むために、できるだけ単純な、簡単なカタチにすることができると、なんとなく認容できそうな気がしてくる。「なんだ、そうか」
例えば、二次元で一番単純なカタチであるところの三角形の面積の求め方さえ知っていれば、何も「(上底+下底)×高さ÷2」なんてことを覚えていなくても台形の面積は求められる。要は、それを思いつく道筋を獲得できるかどうか、ってことじゃないか。それが知恵ってことの一端なんじゃないか、と。
九九は素晴らしいシステムだ。だけど、それを2桁、3桁に応用するのはなかなか難しい。それと同様に、公式や年代をただただ覚えることはあまり意味がない。機械的に書き取りや計算を繰り返すのも単なる訓練でしかない。
大事なことは、自分のアタマで考えること、どうしたら理解できるか腐心すること、それらを鍛えることじゃないだろうかね。