票の割れた互選での委員長就任

県教委:委員長に元「つくる会」高橋氏、中立性に懸念の声 知事は期待 /埼玉(毎日新聞 2007年10月26日(金))

(前略)
上田清司知事は「多岐にわたる見識をお持ちでうまくとりまとめていただける」と期待を寄せたが、県民や団体からは歴史認識の押しつけや教育の中立性から不安視する声が相次いだ。
(中略)
今回の選挙では全6票中2票が他の委員、1票が白紙。票が割れることが少ない同選挙では異例のこととなった。
高橋氏は辞退した前回との違いについて、「親学推進協会や(自分の私塾の)埼玉師範塾の理事長などを務めており、委員長の職務を全うできないと考えた」と説明。師範塾の理事長を辞任するなどの考えを示唆した。また、歴史認識の強要については「教育委員会は合議制。委員長が独断専行するわけではない」と否定した。
上田知事はかねてから、高橋氏について「体験学習、感性教育など多岐にわたり教育の問題点を把握している一線級の人」と高く評価。この日は記者団に「まとめ役なので個性が逆に死んでしまうのではないかという感じはする」と語った。
(中略)
上田清司知事が04年に教育委員に迎えた高橋史朗氏の教育委員長就任は、結果的に2期目に入った教育行政に「上田カラー」が色濃く反映されることになるといえよう。
上田知事はかつて、高橋氏を「教科書を書いたり、監修を依頼されるほど学識が高い」と発言するなど信頼を寄せている。
(中略)
高橋氏は「私の歴史観で埼玉の教育全体を動かす考えはない」と、慎重な姿勢を見せる。
(中略)
選挙で票数が割れたことや、市民団体などから不安の声が上がる中、高橋氏が進めようとする教育行政は平たんにはいかないだろう。万一、批判が高まった時、上田知事の対応も注目される。



今回は確かに互選で票割れしたものの、議会の承認さえ取り付ければ教育委員の任命権は知事にあるわけで、将来盤石の体制で再任する可能性がないわけではない。知事は今までも着々と教委入れ替えを行っている。
また、師範塾の理事長を辞任したって自分が主宰した塾への影響力がなくなるわけではなく、形式的・表面的な責任回避であることに変わりはない。この塾の名誉会長は知事だし会長は元与野市長で、知事が自分の考えと近しいモノ達を集めて自身の教育観に沿った教員を養成するのだから、そうした教員に対して県への門戸を開かないわけがなかろう。それでなければ何のために教員養成などに携わる必要があるのか。
教育者になりたかったという上田知事は、自分が教員になってするよりももっと効率よく自身の歴史観・教育観を県下に広めるべく、そのコピーを持った教員を養成して県下にばら撒くつもり…
そんな風に揶揄されてもしかたがないような言動、体制造りをすでにしているのだ。見過ごしてしまうわけにはいかない。