「権力の乱用」とはとんでもない言いぐさ

日銀総裁人事:我を張らず、話し合って…伊吹自民幹事長(毎日新聞 2008年3月8日(土))

自民党伊吹文明幹事長は8日午前、札幌市で開かれた党北海道連大会であいさつし、日銀総裁人事で政府が提示した武藤敏郎副総裁の昇格に民主党が不同意の方針を示していることについて「(小沢一郎代表は)あまり我を張らず、話し合って物事を進めればいい」と述べた。
(中略)
伊吹氏はあいさつで「民主党は国家、国民のために権力を正しく使うかが試されているが、必ずしもそういう方向に動いていない。政局で思い通りにならないから認めないというのは権力の乱用だ。粛々と選んでもらい、国民のために正しく参院で多数という権力を使ってもらいたい」と指摘し、民主党に武藤氏の昇格を認めるよう求めた。
(後略)



「民主は権力を正しく使え」 日銀人事で伊吹氏 札幌市内の党大会で(北海道新聞 2008年3月8日(土))

自民党伊吹文明幹事長は八日午前、札幌市内で開かれた自民党道連定期大会であいさつし、日銀総裁人事について、「民主党は(参院の多数を得た)権力成り金ではいけない。民主党は粛々と選んで、国民のために正しく権力を使ってほしい」と述べ、民主党に対し政府提案の武藤敏郎副総裁の昇格案に早期に同意するよう求めた。
伊吹氏はまた、与党が民主党欠席のままで二○○八年度予算案を衆院通過させたことを根拠に、民主党が人事案に反対していることについても「政局で思う通りにならなかったから(人事案を)認めてやらないというのは、権力の乱用だ」と批判した。



毎日の記事はもともと「民主の不同意は権力の乱用」となっていたものがずいぶん穏便な体裁になった。何か文句でも言われたのだろうか。
それはどうあれ、直近の選挙結果を反映した多数を背景に批判され、ずいぶんと傲慢な言いぐさである。濫用というならば、選挙によって民意を得たわけでもなく説明も不十分なまま思い通りにならないからといって強行採決をする姿勢こそ「濫用」と指弾されて然るべきだ。「権力成り金」とは自民の体質であって、支持率も下がる中、直近の選挙で民意を得た民主が羨ましいからとこんな暴言を吐くなど、盗っ人猛々しいというものだ。
自分らに正義ありと思うならば潔く選挙によって民意を得ればよい。それができないならば議会のルールに従って、文字通り粛々と対応するのがスジだろう。