有事法制憂う市民らの絵本「戦争のつくりかた」売れる(asahi.com)

有事法制憂う市民らの絵本「戦争のつくりかた」売れる(asahi.com

「戦争のつくりかた」というわずか36ページA5判の小さな絵本が静かに売れている。先の国会で成立した有事関連7法の行方を憂える市民らが、勉強会をしていく中からできあがった本だ。

「戦争がどういうものか知っていますか」という問いかけで始まるこの本は、「国のしくみやきまりを少しずつ変えていけば、戦争しないと決めた国も、戦争できる国になります」という。有事法制や国会での政府答弁をふまえ、一つの例として、「戦争できる国」になる過程をシミュレーションしている。

日本弁護士連合会や憲法学者から「違憲の可能性」を指摘されてきた有事法制だが、その内容は複雑多岐にわたり、国会議員でも「すべてに目を通したわけではない」と認める人は少なくない。

2年前から有事法制の勉強会をしてきた東京の主婦や学生、教員らのグループが今年4月末、国民保護法案の問題点などを解説するホームページを開設。メールで議論する中で本を作ろうということになり、関西の女性会社員がストーリーの原案を書いた。

翻訳家の池田香代子さんや今村和宏・一橋大助教授らを含む27人が、さらにメーリングリスト上で1500通にのぼる意見交換を通して完成。画家の井上ヤスミチさんが12枚の絵を1日で描きあげて協力した。

6月1日発行の初版5000部は口コミなどですぐに売り切れ。同11日には改訂版7000部を刷って都内、札幌、名古屋の主要書店にも置いてもらえるようになった。東京・銀座の旭屋書店では6月中旬に「バカの壁」を抑えてベストセラーになり、上位をキープしている。

300円。問い合わせは、りぼん・ぷろじぇくと(ファクスで020・4665・1339)。