小中学生に「教育勅語」 鹿児島の町教委が名文集に収録(asahi.com)

小中学生に「教育勅語」 鹿児島の町教委が名文集に収録(asahi.com

鹿児島県川辺(かわなべ)町教育委員会が小中学生のいる家庭などに配布した名文集の冊子に、天皇への忠誠を基礎とした戦前の教育勅語が全文掲載されていることがわかった。教職員の一部から「ふさわしくない」との指摘があり、町教委は30日、冊子を回収し、該当部分を削除して再配布することにした。

冊子は子どもたちの間で日本語の使い方が乱れていることから、美しさに触れてもらおうと初めて作った。B5判、152ページで俳句や和歌、漢詩文、現代文、英文など9項目。

1月末に町内の小中学校の教諭ら9人で編集委員会を設け、3月末に完成させた。1700部作り、5月に家庭や子ども会、スポーツ少年団の指導者らに配った。

教育勅語漢詩文の項目に掲載。編集委員会では対象になっていなかったが、最終段階で委員の一人が「明治以降の漢詩がなく、今の時代にも感じられる道徳的な部分があると思った」との理由から独断で掲載を決めた。

北野律和・町教育長は配布前に掲載に気づいたが、そのまま配布を認めた。県教委も5月初めまでに入手したが、掲載には気づかなかったという。

北野教育長は「人によって価値観が分かれるが、名文集にはなじまない。配慮が足りなかった」。県教委の内薗良喜・指導監は「個人的には、慎重に考えて掲載すべきだったのではないかと思う」と話した。