イラク暫定政府が非常事態宣言 米軍はファルージャ空爆(asahi.com)

イラク暫定政府が非常事態宣言 米軍はファルージャ空爆asahi.com

米軍は6日夜(日本時間7日未明)、武装勢力が支配するイラク中部ファルージャに対して過去半年で最大規模とされる空爆を行った。同時に米軍は、イラク治安部隊と合同で1万人以上の兵力を投入して町を包囲、突入に向けた態勢を整えている。一方、これを牽制(けんせい)しようとする武装勢力の攻撃もファルージャ周辺で続発しており、ブッシュ米大統領の再選を機に本格化するとみられる総攻撃を目前に、緊迫した情勢が続いている。
イラク暫定政府は7日、北部のクルド地区を除く全土に60日間の非常事態宣言を出した。来年1月の国民議会選挙を実現するため、治安対策を強化する目的とみられる。同宣言により、首相は国民や外国人の夜間外出、移動、集会の自由を制約するなどの強権発動が可能になる。
AP通信は、6日夜の空爆で500ポンド(約230キログラム)爆弾5発が使われ、市民12人が死亡したと報じた。カタールの衛星テレビ、アルジャジーラは、空爆で崩壊した病院の映像を放送。米軍は、空爆はすべて武装勢力の武器庫を破壊したものと発表している。
武装勢力側は7日朝、ファルージャ北西約150キロのハディーサなどで警察署3カ所を襲撃、警察官計22人を殺害した。約200人が襲撃に加わり、警官から武器を取り上げた上で全員を殺害、米軍が到着する前に引き揚げたという。中部サーマッラでは6日、4度の自爆を含む連続攻撃により、警官ら少なくとも37人が殺害されたばかりだ。
米軍に対しては、7日朝、バグダッド国際空港の検問所近くで自爆攻撃があり、米軍車両が被害を受けたほか、米大使館があるグリーンゾーン付近で大きな爆発音が3度響いた。6日にもラマディやファルージャの郊外など各地で攻撃があり、米兵計21人が負傷している。
約30万人とされるファルージャ住民の大半は、総攻撃を恐れてすでに町を脱出。現在、市内に残る武装勢力は1200人の中心メンバーに合流した住民を含めて計3千〜6千人とされる。
7日のロイター通信によると、米軍のシャップ司令官は「市内には全武装勢力が集結している。交渉の余地はなく、総攻撃以外に選択肢はない」と述べた。同司令官はイラク暫定政府のアラウィ首相の命令が出しだい、実行するとしている。
これに対し、地元やサウジアラビアの宗教指導者が「米軍への武力による抵抗は正当な行為」などとするファトワ(宗教見解)を相次いで出した。イスラム宗教者委員会も「総攻撃なら国民議会選をボイコットする」と宣言している。国連のアナン事務総長が総攻撃回避を米英などに呼びかけたほか、ヤワル大統領など暫定政府内にも攻撃に反発する声がある。