逐条点検 日本国憲法(東京新聞)

暮らしそのもの『国の基本』全103条


<第2条> 『女帝』是非記載なし

皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

最近、にわかに注目を集めている「女帝」容認論皇位継承について書いてある二条は、この問題に直結する。
皇室典範一条では、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と規定している。女性天皇を認めるには、この条文を改正しなければならない。
憲法では二条で、皇位は「皇男子孫之ヲ継承ス」と男系男子に限っていたが、現憲法ではその部分が省かれた。現憲法策定に向けた国会審議で、政府はその理由について「憲法の建前としては、男女の区別の問題は、法律問題として自由に考えてよい」と答弁している。
つまり、明治時代も今も「男系男子」は変わりないが、旧憲法下では憲法、今は皇室典範で規定されていることになる。
そのため、女帝容認は、憲法を改正しなくてもいいというのが政府の見解だ。だが、天皇制の歴史的な転機となる問題だけに、改憲論議と並行して行うべきだという意見もある。
女性天皇は過去に、十代八人いる。今の国内世論は、多数が女性天皇を認めるのに賛成している。
ただ、(1)過去例がない「女系」の天皇、つまり父方に天皇を持たない天皇を認めるのか(2)継承を第一子優先とするのか、男子優先とするのか−など、クリアすべき問題も少なくない。
この問題については、首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大学長)が議論を始めており、今秋にも結論が出る見通しだ。