逐条点検 日本国憲法(東京新聞)

暮らしそのもの『国の基本』全103条


<第4条> 『公的行為』規定なし

天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

天皇の国事行為は具体的に、六、七条に列挙されている。ここでは、旧憲法下で天皇統帥権を盾に軍部が独走した戦前の教訓から、天皇のあらゆる行動が国政に対して影響を与えることがないよう規定し、天皇の政治的影響力を排除した。天皇は国事行為以外に、私的な行為も当然行う。こちらも、国政に影響を与えることはあってはならないとされている。
ただ、実際のところ天皇は、外国公式訪問や国内の公式巡幸、国会開会式での「おことば」など、国事行為ではなく私的行為とも言えないことを少なからず行っている。これらは「公的行為」と呼ばれていて、国事行為と同じように内閣がその責任を負うが、憲法上の規定はない。
憲法上の規定がないからといって、天皇が公的行為を行ってはならないという声は、今の国会にはほとんどない。
逆に、今月三日の衆院憲法調査会の自由討議では、「内閣の助言と承認の下、公的行為をきちんと設けるべきだ」(自民・船田元氏)と、憲法上の位置付けを明確にすべきだという意見も出た。
国事行為の委任は、「国事行為の臨時代行に関する法律」に基づき、天皇が病気や外遊などで執務ができない場合に行われる。委任の判断は、内閣の助言と指導により、天皇自らが判断する。
天皇が幼少や病弱だったりして、長期間にわたって国事行為が行えない場合は、「摂政」が置かれるが、これは五条に規定されている。