逐条点検 日本国憲法(東京新聞)

暮らしそのもの『国の基本』全103条


<第42条> 二院制の是非争点に

国会は、衆議院および参議院の両議院でこれを構成する。

国会の二院制を定めた条文だ。憲法制定の際、GHQは一院制を求めたが、日本側は反対。(1)慎重な審議が可能(2)極端な政権交代を抑制−などの二院制の利点を訴え、最終的に日本側の主張が通った。とかく、「GHQの押し付け」といわれることが多い今の憲法だが、この条文は「純日本製」なのだ。
ただ、この「二院制」が今、憲法論議の争点になっている。
憲法では、両院の議決が異なった場合、予算(六〇条)、条約(六一条)、首相の指名(六七条)は衆院の議決が優先されると規定されている。これは、「衆院の優位性」といわれる。
一方、その他の法案では、衆院が可決した法案を参院が否決したとき、衆院で再び三分の二以上の賛成で可決しなければ成立しない(五九条)。このため、「参院は強すぎる」との声もある。
参院は力が強いのか弱いのか、評価が分かれるところだが、存在感が薄いという点では、衆目がほぼ一致する。
参院は、「良識の府」として衆院のチェック機能を果たすことが求められるが、最近は衆院を通過した法案が覆ることはほとんどない。議員のタイプや審議内容も、あまり変わらない。
参院は、押しボタン式投票の導入や決算審査の充実などで、独自性を打ち出してきた。しかし、どれも決め手にはなっておらず、「一院制でも問題ない」との意見は、少しずつ強まっている。
当然のように、参院側は一院制に反対だ。参院憲法調査会の二院制小委員会は三月九日、「会派を超えて二院制堅持で一致した」とする報告書を議決。自民党改憲論議でも、参院側が反対の論陣を張り、一院制導入論を「封殺」している。
とはいえ、これで、「良識の府」としての権威が回復したというわけではない。