「結果を出していくこと」と任命責任は別

佐田行革担当相が辞任 首相に辞表提出(asahi.com 2006年12月28日(木))

佐田玄一郎行政改革担当相(54)=衆院群馬1区、当選6回=は27日、実体のない事務所を政治団体の所在地として届け出ていた問題で、「不適切な会計処理があった」として辞意を表明し、安倍首相も了承した。政治団体の事務所経費は「実際に支出されたもので、架空のものは一切ない」としたものの、別の政治団体の経費を付け替えたことを「不適切」と説明した。先週の政府税調会長辞任に続く閣僚辞任は政権に打撃となるのは必至で、求心力が低下している首相は厳しい政権運営を強いられることになりそうだ。
郵政民営化反対派議員の復党問題タウンミーティング(TM)のやらせ問題も含め、政権へのダメージとなる事態が続いており、政権基盤の弱体化は避けられない。
首相は27日夜、首相官邸で記者団に対し、「任命者として国民に対し責任を感じている」と任命責任を認めたうえで、自らの責任の取り方としては「結果を出していくことによって国民に対して責任を果たして参りたい」と語った。
佐田氏はこれに先立ち、内閣府で記者会見した。それによると、政治資金収支報告書に記載された90年から00年までの約7800万円分の事務所費や政治活動費は、実際に支出されたと主張した。
だが、資金不足のほかの後援団体経費の一部を自らの政治団体の収支報告書に記載する「付け替え」があったとして、「不適切な会計処理だったことは認めざるを得ない」と語った。会計処理の不備については「会計責任者が未熟だったこともあるかもしれません」と説明したが、付け替えた具体的な額や地元団体の名前などは明らかにしなかった。
佐田氏は行政改革のほか、新たな天下り対策などを打ち出す公務員制度改革、来年1月に新組織を立ち上げる規制改革なども担当してきた。そのため「通常国会における予算審議や重要法案の成立を目指すために、国政の渋滞を招くことはあってはならない」と辞任する理由を説明した。
首相は政権へのダメージを最小限に抑えるため早期決着を目指し、問題発覚当初から佐田氏への説明責任を求めてきた。来年の参院選での民主党との政治決戦に向けて公務員制度改革を掲げていることから、野党の追及材料を一つでも減らしたいという判断もあった。
佐田氏の辞任を受け、首相はただちに後任人事に着手。首相は同夜、「なるべく早い時期に決定をしていきたい。(派閥などから)推薦を受けることはない」としたうえで、「行政改革に果敢に取り組んでいただける方にお願いをしたい」と語った。渡辺喜美林芳正の両内閣府副大臣のいずれかを昇格させる案や、伊藤達也元金融相の起用が浮上している。