伊東一長長崎市長が殺害された事件について各界のコメント

長崎市長銃撃:強い怒りの声、続々と(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年4月18日(水))

「とんでもないこと」「怒りを感じる」。伊藤一長長崎市長が17日に銃撃された事件を受け、自らも襲われた経験を持つ政治家が、また識者が、憤りの声を上げた。


◇徹底した捜査を
ノンフィクション作家、溝口敦さんの話 本島等・前市長の襲撃事件を思い出し「同じ地で二度と起こってはいけないことが起こった」と強い怒りを感じる。今回のような襲撃は、言論抑圧の最たるものだ。警察には、容疑者の背景も含めて徹底した捜査と再発防止を求められる。


◇とんでもないこと
「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」の豊永恵三郎・広島支部長 平和行政を担う人を狙うというのは、とんでもないことだ。在韓被爆者問題では、広島県広島市より長崎市長崎県の方が熱心に取り組むなど、平和行政に努力をしてきている。今回の事件は平和都市で起こった事件だけに、影響は大きいと思う。


◇自分を思い出した
96年10月に自宅マンション前で暴漢に襲われ、重傷を負った岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長(74)の話 一報を聞いて選挙絡みとピンときた。民主主義の危機だ。あってはならないことだ。とっさに自分のときのことを思い出した。(襲撃事件では、町内の産業廃棄物処分場計画との関係が取りざたされたが未解決。柳川町長は今期限りで引退することが決まっている)


◇許すべきでない
広島市秋葉忠利市長は17日午後9時40分ごろ、「伊藤市長が狙撃されたという突然の情報に、大変驚いている。また、このような事件が起きたことに対し、強い憤りを覚える。法治国家として許すべきことではない。意識不明で救急病院に運ばれ、心肺停止の状態と聞いているが、一刻も早く回復されることを祈っています」との談話を発表した。


◇祈るような気持ち
全国市長会会長の山出保・金沢市長の話 伊藤市長とは、全国市長会でよく一緒に仕事をしている。今月10日、東京であった市長会の会合で会い、能登半島地震のお見舞いの言葉をいただいたばかり。早く元気になってほしいと、本当に祈るような気持ちだ。事件のことは分からないが、政治や選挙に暴力がかかわることは絶対にあってはならない。



長崎市長銃撃:政界「卑劣、許せぬ」口々に非難(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年4月18日(水))

安倍晋三首相は17日午後8時3分、首相公邸で秘書官から長崎市伊藤一長市長が銃撃されたと報告を受けた。その後、同50分「捜査当局において厳正に捜査が行われ、真相が究明されることを望む」とのコメントを発表した。塩崎恭久官房長官も「理由のいかんを問わず、公職にある者に対する暴力は、誠に卑劣な行為であり、絶対に許すことのできないものである」との談話を出した。
昨年8月、首相の靖国神社参拝を批判して右翼団体幹部に山形県鶴岡市の実家と事務所に放火され、全焼の被害を受けた自民党加藤紘一元幹事長は17日夜、国会内で記者団に「非常に深刻な話だ。政治家が政治活動の最中に後ろから『問答無用』と撃たれるようなことがあってはならない」と語った。さらに「発言を控えるような世の中になってはならない。(こうしたテロに)めげずにしっかり発言できる社会にしていかないといけない」と強調した。
衆院長崎2区選出の久間章生防衛相は、記者団に「伊藤さんとは非常に親しい。今年7月の参院選への出馬を頼んだぐらいだ。非常に残念だ」と話した。
民主党鳩山由紀夫幹事長は「政治信条、言論を暴力で封殺するというのは極めて卑劣な行為だ。特にこのような選挙運動中というのは、有権者の皆さんと近づいて民主主義の原点として行動しているので、無防備な時に狙うというのはさらに卑劣だ」と語った。
日本共産党志位和夫委員長は同夜「こうした卑劣なテロ行為は、自由と民主主義に対するもっとも凶暴な攻撃であって絶対に許されない」とするコメントを発表。
社民党福島瑞穂党首は取材に「選挙中の首長が撃たれるというのは異常な事態だ。武力で問題解決をしようとする傾向には断固抗議する。日本の中で政治活動が危うくなっている」と述べた。
国民新党綿貫民輔代表は取材に対し「言論を暴力で変えようとするのは民主主義の破壊だ。選挙中にこんな不穏なことが起きるようでは、恐ろしくて選挙に出られなくなる。許せないことだ」と語った。



長崎市長銃撃:与野党、渦巻く怒り(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年4月18日(水))

長崎市伊藤一長市長が17日夜銃撃され意識不明の重体となった事件は、政界に大きな衝撃を与えた。平和、被爆者問題に取り組む自治体の長へのテロに、与野党通じて怒りの声が渦巻いた。
自民党中川秀直幹事長は同夜「衝撃を受けている。伊藤市長の回復を祈っている。万一にも異なる政治的立場を凶弾により抹殺しようとすることはあってはならない。われわれは政治信条の自由を断固擁護し、かかる暴力に反対する」とのコメントを発表した。
片山虎之助参院幹事長(元総務相)は「地方自治への信頼が揺らぎかねない。今後、再発しないよう国、地方自治体も対策を講じないといけない」と力説した。
自民党町村派会長の町村信孝前外相は「民主主義への重大な挑戦。いかなる理由でも許されない犯罪だ。伊藤市長の無事を祈る」と語った。
公明党の斉藤鉄夫政調会長は「核廃絶や平和、被爆者問題に熱心に取り組んできた方。個人的にも親しいので非常にショックだ」と肩を落とした。
事件を受けた各政党の対応では民主党の大幅な遅れが目立ち、危機管理態勢の甘さが露呈した。正式に見解を出したのは、鳩山由紀夫幹事長が参院福島補選の応援から帰京した午後9時50分ごろで、事件発生から約2時間後。文書でのコメントは午後10時50分ごろまでもたついた。小沢一郎代表は参院選対策で訪れた鹿児島市内のホテルに宿泊中で対応しなかった。
一方、安倍晋三首相と中川自民党幹事長がコメントを出したのは午後8時50分。午後7時半過ぎに首相公邸に引き上げた首相が、秘書官から報告を受けたのは事件発生から約10分後。すでに塩崎官房長官ら政府要人はほとんど官邸にいなかったが、事務のスタッフが素早く対応したようだ。
ただその分、首相コメントは「厳正な捜査」と「真相究明」を求めたあっさりした型通りの文言だけで、政治に対する暴力への批判や伊藤市長の容体を気遣うような言及はなかった。
共産党志位和夫委員長が午後9時ごろ、社民党福島瑞穂党首が午後9時20分ごろ、国民新党亀井久興幹事長が午後10時に出した。



長崎市長射殺:「いかなる理由でも暴力許さず」本島前市長(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年4月18日(水))

伊藤市長と同じく、90年1月に右翼団体構成員に長崎市役所前で銃撃され、重傷を負った本島等・前市長(85)は伊藤市長が死亡した18日朝、自らの体験を踏まえて政治とテロについて聞いた。
17日夜から18日にかけてひっきりなしにかかる電話の対応に追われた本島さんは疲れた様子を見せながら「本当に気の毒だ。奥さんや家族のことを思うと……」と語り始めた。
「みんな僕が撃たれたことと結びつけて考えようとするが間違っている。僕の場合、天皇戦争責任発言に対する反発だと後でいわれたが、動機がどうあれ銃撃を正当化することは許されない。堂々と人ごみの中で拳銃が使われて人が死んだ。いかなる理由があるにせよ暴力は絶対許されるものではない」
政治家を狙ったテロはかつて本島さんの前にも長崎市であった。1969年7月、県議会議長が長崎市の自宅前で刺殺され、結局、事件は迷宮入りした。
「かつては利権などに絡んで暴力団的な人たちが動き、社会も受け入れた時代があり、議長刺殺はそういう時代と決別しようとした名残の中で起きた。だが、今はそういう時代ではないはずだ。暴力に対して黙っていたら、長崎市長になろうとする人はいなくなってしまう」
恒久平和を国内外に訴える被爆地・長崎の市長が2代続けて銃撃される異常事態には、本島さんも首をひねる。
長崎市は平和の先駆けを自認してきた。被爆地は他より一生懸命、平和教育をやっている。平和教育の根本は、いかなる暴力も許さないこと。同じ被爆地の広島では起きないことが、なぜ長崎で起きるのか。今回の事件で、よその都市より暴力が栄えていると勘違いされるのが怖い。これは長崎市民に対する挑戦であり、試練と考えるしかない」
本島氏は88年12月、市議会で「天皇の戦争責任はあると私は思います」と答弁。昭和天皇の容態が危ぶまれ日本中が自粛ムードのまっただ中にあっただけに、大きな波紋を呼び起こし、右翼団体が連日、市役所を取り囲むなどの騒動になった。世論も沈静化し県警の警備が緩和された90年1月、市役所正面玄関から公用車に乗り込もうとしたところを、市内の右翼団体構成員に背後から撃たれた。構成員は殺人未遂の罪で起訴され、長崎地裁は同年12月、懲役12年の実刑判決を言い渡した。
奇跡的に回復し公務に復帰した本島さんは、話をこう結んだ。
「政治家だけでなく、市民も暴力に対し超然として対決する心構えが大切だ。今回の事件への対応を誤れば、暴力を容認する風潮が大手を振ってまかり通ることになりかねない」



長崎市長射殺:政界でテロへの怒り改めて渦巻く(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年4月18日(水))

伊藤一長長崎市長が銃撃され死亡したことに対し、政界では18日、テロへの怒りが改めて渦巻いた。昨年8月に右翼団体幹部に実家などを放火された自民党加藤紘一元幹事長は毎日新聞の取材に「回復を祈っていたが大変つらい話だ。ご家族と長崎市民に与えた衝撃は計り知れないし、国民全体に衝撃を与えている」と強調。そのうえで「政治家が発言していく中で、このような卑劣なことが起こっては、他の国々に日本を誇れないことになる」と語った。
衆院長崎2区選出の久間章生防衛相は記者団に「本当に残念。ただ政治は一時の停滞も許されないので、きょう明日中に市長に代わる人を見つけて立候補してもらわないといけない」と述べた。また、野田毅自治相は「徹底して銃刀法を厳格に適用すべきだ。選挙中に政治家が狙われるのはとんでもないことだ。民主主義の敵であり、こんなことは許されない」と怒りをあらわにした。
野党では、民主党小沢一郎代表が同日午前、参院選対策で訪問中の鹿児島市内で記者団に「本当に残念で強い憤りを感じる。暴力、テロによってこんなことが許されたのでは民主主義は根底から破壊されて成り立たない」と語った。鳩山由紀夫幹事長も東京都内で記者団に「信じられない思いで残念でならない。このようなことが二度と起こらない世の中を作らないといけない」と述べた。



「民主主義への挑戦許さぬ」 安倍首相(asahi.com 2007年4月18日(水))

安倍首相は18日朝、銃撃された長崎市伊藤一長市長が亡くなったことについて「県会議員時代から存じ上げていた。ご冥福を衷心よりお祈りしたい。選挙期間中、選挙運動中の凶行は民主主義に対する挑戦であり、断じて許すわけにはいかない。こうした暴力を断固として撲滅をしていかなければならないと思う」と語った。公邸前で記者団の質問に答えた。



「伊藤市長は世界平和に全力」 長崎知事がコメント(asahi.com 2007年4月18日(水))

長崎県金子原二郎知事は18日、「市長を銃撃するという卑劣な暴力行為に強い憤りを感じる。伊藤市長は核兵器の廃絶と世界平和を願い、全力で取り組んできた。暴漢の凶弾に倒れ、さぞ無念だっただろう。民主主義と地方自治の根幹をなす市長選挙の期間中に、候補者が銃撃されるという今回の事件は、自由と民主主義への挑戦で、断じて許せない」とのコメントを出した。



「痛恨の極み」全国知事会長・市長会長がコメント(YOMIURI ON-LINE 2007年4月18日(水))

伊藤一長長崎市長が銃撃され、死亡した事件に、自治体関係者からも憤りの声が上がった。
全国知事会長の麻生渡・福岡県知事は18日、県庁で報道陣に、「痛恨の極みとはこのことだ。市長に対する銃撃は、極めて卑劣かつ許すことができないテロ。厳しく糾弾しなければならない」と語った。
一方、全国市長会長の山出(やまで)保・金沢市長も同日、「余りにもむごく、あってはならないことで強い憤りを覚える。地方分権の推進に尽力され、核廃絶による世界平和を訴え続けておられただけに誠に痛恨の極みだ」とのコメントを出した。