いくらでも出てくるずさんな資金管理

鴨下環境相、資金団体「借入金800万円」説明できず(読売新聞 2007年9月5日(水))

鴨下一郎環境相(58)(衆院東京13区)の資金管理団体が8年間にわたり、政治資金収支報告書に1000万円と記載し続けてきた借入金が、借入時の収支報告書では200万円しか記載されていなかったことが、読売新聞の調べで分かった。
差額の800万円について、鴨下氏の事務所は「借入金額を裏付ける書類が残っておらず、分からない」としており、明確に説明できていない。鴨下氏本人は「ずさんと言われれば、甘んじて受けなければならない。反省している」と話している。
政治資金規正法では、政治資金の透明性を確保し、政治活動の公正さを検証できるようにするため、政治団体の収入や支出だけでなく、所有不動産や負債など資産の記載を義務付けている。借入金は、借りた年に収支報告書の「収入」欄に記載し、100万円以上の残高や借入時期を「資産等」欄に書かなければならない。返済すれば、「支出」欄に記載の必要がある。
鴨下氏の資金管理団体(現・政策パラダイム研究会)の1998〜2005年の収支報告書の「資産等」には、96年8月に同団体が鴨下氏個人から借りたとする1000万円が記載され続けている。ところが、96年の収支報告書の「収入」に記載されている借入金は、200万円だけだった。
鴨下事務所は当初、読売新聞の取材に対し、最近の収支報告書の記載に沿って「96年の借入金も1000万円だった可能性が高い」としていた。しかし、96年の収支報告書に書かれていた200万円との差額800万円は、どこにも記載がなく、支出の時期も使途も書かれていない。
同事務所は4日になって、「確たる証拠は手元にないが、使途不明金はありえず、当時の借入金は200万円だった可能性が高い」として、収支報告書の借入金額を1000万円から200万円に訂正する意向を示した。だが、200万円が事実なら、鴨下氏からの借入金は8年間にわたり、実際より800万円も多く記載されていたことになる。
鴨下氏が衆院議長に提出した資産等報告書によると、鴨下氏の貸付金残高は00年6月に820万円、03年11月と05年9月はゼロとなっている。資金管理団体の借入金が1000万円でも200万円であっても、収支報告書の記載とは大きく食い違っている。
鴨下氏は4日の取材に「ずさんというそしりは甘んじて受ける。申し訳ない。根拠が十分ではないが、質問には精いっぱい答えているつもりだ」と話した。



借入金問題、鴨下環境相「詳細に調べ説明する」(読売新聞 2007年9月5日(水))

下環境相の資金管理団体の不透明な借入金問題で、鴨下氏は5日朝、都内で記者団に対し、「事実関係について詳細に調べて、皆さんに報告したい」と述べ、同日中にも記者会見などで説明する考えを示した。
また、鴨下氏は「きちんと説明して、納得いただけるかどうかどうかに全力を尽くしたい」と述べ、現時点では閣僚を辞任する考えはないと強調した。
与謝野官房長官は鴨下氏から事情を聞く方向だ。与謝野氏は5日朝、都内のホテルで自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長と会談し、10日からの臨時国会への対応などを協議した。閣僚の「政治とカネ」をめぐる問題がまた表面化したことに対し、政府内では「鴨下氏は実際にお金を貸しているが、うまく記載できていないのではないか。不正に使ったわけではないのだろう」という見方が出ている。だが、鴨下氏の説明次第では野党からの辞任要求が強まる可能性がある。



鴨下環境相:資金管理団体への貸金に差額800万円(毎日新聞 2007年9月5日(水))

鴨下一郎環境相衆院東京13区)の資金管理団体が05年の政治資金収支報告書に記載している鴨下氏本人からの借入金「1000万円」が、96年の借り入れ時には「200万円」と記載されていたことが分かった。差額の800万円分については報告書に記載がなかったが、鴨下氏は5日朝、1000万円のほうが記載ミスだったと説明したうえで、「出来るだけ早く事実関係を調べて皆さんに報告したい」と述べた。
鴨下氏の資金管理団体「政策パラダイム研究会」(昨年12月に名称変更)の前身「新政策研究会」の政治資金収支報告書によると、96年に鴨下氏自身から200万円を借りた形になっている。しかし、05年の報告書の借入金の欄には、96年に借りたのは1000万円と記載されていた。
鴨下氏は「ひとたび(200万円を1000万円とする)記載ミスがあって、その後は前年の報告書にならってずっと同じような借入金を計上した。さかのぼって訂正することになると思う」と述べた。
一方、鴨下氏が衆院選後に衆院議長に提出した資産等報告書によると、97年1月時点で貸付金はゼロ。00年9月の報告書では820万円となったが、04、05両年は再びゼロに戻っており、政治資金収支報告書の記載が全く反映されていない。
これについて鴨下氏は「ルーズにやっていたことが確かにあると思うので、訂正すべきは訂正する」と話している。
鴨下氏は8月27日の就任記者会見で、政治資金について「問題が起きないよう努力してきたので、100%大丈夫とは言えないが、私なりに自信を持っている」と話していた。



舛添厚労相:鴨下環境相の借入金問題「説明が必要」(毎日新聞 2007年9月5日(水))

舛添要一厚生労働相は5日午前、鴨下一郎環境相資金管理団体の借入金問題について、「きちんと国民に説明できるかどうかだ。できなければ何らかのけじめをつけざるを得ない。(政権への影響は)非常に深刻だ」と述べた。東京都内で記者団の質問に答えた。【堀井恵里子】



領収書「1円以上」慎重論相次ぐ=規正法再改正、不透明に−政府・自民(時事ドットコム 2007年9月4日(火))

政治資金規正法の再改正問題をめぐり、政治団体の「1円以上」の経常経費支出に領収書添付を義務付ける案に対し、政府・自民党内で慎重論が相次いでいる。安倍晋三首相は再改正の検討を党側に指示しているが、麻生太郎幹事長らは慎重な姿勢を示しており、10日召集の臨時国会での再改正は不透明になってきた。
「ついこの間まで、みんな5万円(以上)で納得していたと記憶するが、ある日突然1円(以上)になった」。麻生氏は4日の記者会見で、資金管理団体の5万円以上の経常経費支出に領収書添付を義務付ける改正法が先の通常国会で成立したばかりと指摘。臨時国会での再改正は「確約できない」と言い切った。
党内では「香典を出すときに領収書をくださいとはなかなか言えない」などと抵抗感が根強い。三役では、二階俊博総務会長も慎重な立場を明確にしている。4日の総務会では、深谷隆司通産相杉浦正健元法相が慎重な検討を求めた。さらに与謝野馨官房長官も同日の記者会見で、「にわかに1円がいい悪いというところから問題に入っていくのが正しいかどうか」と疑問を呈した。




領収書添付、「1円以上」に慎重=公明代表は義務化求める−自民幹事長(時事ドットコム 2007年9月2日(日))

自民党麻生太郎幹事長は2日午前、NHK番組に出演し、政治団体の「1円以上」の経常経費支出(人件費除く)に領収書添付を義務付ける政治資金法再改正について、「公的資金である政党助成金についてきちんと書くのは当然だが、自分で集めた政治活動費もすべて1円までというのは少し違うのではないか」と述べ、慎重な考えを示した。
一方、公明党太田昭宏代表は同じ番組で、「通常国会で5万円(以上)の領収書(添付義務化)を実現したが、『まだ足りない』というのが国民の声だ。国民の目線に合わせた合意を形成したい」と述べ、政治活動費を含めた1円以上の領収書添付義務化の実現を目指す考えを強調した。