反動教育傾向継続の懸念

県教委:高橋委員長を再任 「不適格」と反発の声も /埼玉(毎日新聞 2008年10月10日(金))

昨年10月に県教育委員長に選任された「新しい歴史教科書をつくる会」元副会長の高橋史朗氏(57)は9日、委員による選挙で6票中5票を得て再任された。2期目に向け「教育委員会の改革に道筋をつけたい」と抱負を語ったが、県内の教職員組合や市民団体は「経歴やこれまでの言動から委員長として不適格」と反発している。
任期は委員としての任期が切れる12月26日まで。その後も委員に再任するかについて、任命権を持つ上田清司知事は「1期4年の職は1期までとする原則を守りたい。ただ、余人をもって代えがたい場合は例外がある」と含みを持たせた。
高橋氏は04年12月に委員に就任。05年には「つくる会」の教科書監修にかかわっていたことが発覚し、公民と歴史の教科書採択時に委員会を退席した。06年には教員養成を目的とした私塾「埼玉師範塾」を開設し、理事長を務めた。こうした経緯から、埼玉教職員組合や市民団体は、高橋氏を委員長に再任しないよう島村和男県教育長に求めていた。
批判について高橋氏は「反省すべき点は反省し、貫くべき点は貫いていきたい」と語った。上田知事は「高橋先生になってから、教育委員会が事務局の追認ではなく、議論してリードする場に変わった」と話した。【稲田佳代】



県教育委員長 高橋氏を再任(朝日新聞 2008年10月10日(金))

◇「つくる会」元副会長 「不適格」批判も
教育委員会は9日、新しい教育委員長に、明星大教授で「新しい歴史教科書をつくる会」元副会長の高橋史朗氏(57)を互選で再任した。高橋氏の教育委員としての任期は12月26日までで、委員長の任期も同日までとなる。
この日の委員長選挙では、高橋氏が6票中5票を、日本サッカー協会会長の犬飼基昭氏が1票を獲得した。
高橋氏は04年12月に、上田知事の提案で教育委員に就任した。「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した教科書の監修にかかわったことが明らかになったり、教員研修の私塾を開いて「教員人事の公平性を損なう恐れがある」など批判を呼んでいた。
高橋氏は委員会終了後、記者団に対し、「教育委員会のあり方について委員と積極的に議論し、審議時間の確保など改革の道筋をつけたい」と抱負を語った。教員研修の私塾「埼玉師範塾」の理事長と塾長は昨年の委員長就任時に退いたという。
高橋氏の委員としての任期は12月下旬までで、再任されてもされなくても、再度、委員長選挙が実施される。委員再任について上田清司知事は記者団に、審議会委員などの任期を定めた内部規則から1期4年で終了が原則との認識を示し、「原則を大事にするが、例外もある」と述べた。
委員長再任を巡り、教職員組合や市民団体からは批判の声が上がっている。
埼玉教職員組合と埼玉高等学校教職員組合は「一方的な価値観を強調し続けている」、市民団体「教育と自治・埼玉ネットワーク」は「教育委員としても不適格」などと抗議声明で主張。県教職員組合と県高等学校教職員組合は「『教育委員会の中立性が損なわれるのでは』との声を真摯に受け止めることが強く求められる」などとコメントを発表した。



【埼玉】県教育委員長高橋氏を再任(東京新聞 2008年10月10日(金))

教育委員会の委員長選挙が九日行われ、「新しい歴史教科書をつくる会」元副会長の高橋史朗明星大教授(57)が再任された。任期は、高橋氏の教育委員の任期(四年)満了の十二月二十六日まで。
高橋氏は昨年十月から委員長を務めており、選挙後「今後は大分県の事件を受け、教育委員、教育委員会のあり方を積極的に議論し、改革の道筋をつけたい」と述べた。
再任を受け、県教職員組合や県高等学校教職員組合などは、来年度の教科書採択に絡み「過去に特定の教科書作製にかかわった高橋氏が影響力を持つことに疑問がある」などと抗議声明を出した。
上田清司知事は、高橋氏に教育委員任期満了後の再任を求めるかについて、県の付属機関の委員任期を原則最長四年としていることを挙げ「原則を大事にしたいが、教育長らの意見を聞きたい」と述べた。(鷲野史彦)