「憲法を読む」(毎日新聞連載)

憲法をよむ:/12 第14条 平等反し「1票の格差」訴訟に(毎日新聞 2013年12月6日(金))

<戦後70年に向けて>
憲太君 「法の下に平等」という言葉は聞いたことがあるよ。
先生 「1票の格差」訴訟など、いろいろな問題が「法の下の平等に反する」として裁判になりましたからね。憲法では、他にも個別権利の平等を定めた条文がありますが、第14条はその基本原則を宣言したものとされています。
憲太 人種、信条、性別、社会的身分、門地の五つが挙げられているね。
先生 信条とは、宗教上の信仰や思想・政治上の主義。門地は家系や血筋など家柄のことです。第14条2項で廃止されました。
憲太 自民党案では「障害の有無」も加えられているね。
先生 この五つは例として挙げられただけで、他の差別も当然許されません。あえて「障害の有無」だけ加えることには疑問の声もありますね。
憲太 「法の下の平等」というのは、みんなが均等ってこと?
先生 同じ条件の下では均等ということです。年収が5000万円の人と500万円の人が同じ額の税金を徴収されたら負担が大きく異なります。条件が違えば、法律上の取り扱いで差をもうけるのは当然ですね。
憲太 「1票の格差」の問題って?
先生 国政選挙では選挙区ごとに有権者の数が違い、議員1人の当選に必要な票数も異なります。つまり、有権者の1票の価値が選挙区によって差があることが「法の下の平等」に反すると、裁判になっています。先日も、今年の参院選の岡山での選挙を違憲で無効とする高裁判決が出ましたね。「婚外子差別」の問題も、最高裁が9月に違憲と判断し、改正民法が今国会で成立しました。=次回は第15〜17条。10日掲載です
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<現行憲法
第14条1 すべて国民は、法の下(もと)に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又(また)は門地(もんち)により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


<自民案>
第14条1 全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。