生活習慣と学業の相関

県教委、初の学習状況調査(asahi.com / 2006年7月25日(火))

(前略)
◇小5・中2対象 持ち物確認や朝食 欠かさない子ども 正答率上回る
調査は1月に実施。県内すべての公立小・中学校(さいたま市を除く)の小学5年生と中学2年生計約10万6千人を対象にした。学力を問うペーパーテストのほか、「学校に行く前に持ち物の確認をするか」「朝食を取るか」「睡眠時間は何時間か」など生活習慣を調べるアンケートを行った。
ペーパーテストの結果は、小学5年の国語、社会、算数、理科の4教科の平均正答率は75%、中学2年で、英語も含めた5教科の平均が66%だった。
生活習慣との関係を見ると、「持ち物の確認を必ずする」と答えた児童・生徒の平均正答率は、小学5年で77.2%、中学2年で70%とそれぞれ全体の平均正答率を上回った。これに対し「全く確かめない、またはほとんど確かめない」と答えた児童・生徒の平均正答率はおのおの65.3%、57.6%と全体平均を大きく下回った。
同様に「朝食を必ず取る」「1日1時間以上外遊びや運動をする」と答えた児童・生徒も平均より正答率が高かった。また、睡眠時間と学力の関係では、小学5年では7〜10時間、中学2年で7時間前後の児童・生徒の正答率が高いという結果も出た。
県義務教育指導課は「現場レベルでは言われていたことが、データとして確認できた。生活習慣を身につけることの大切さの教育を引き続き行っていきたい」と話している。

母数は確かにあるようだが、何だか漠然とした内容だ。きちんと有意であるかの検証を経た統計と言えるかどうかもわからないけれど、「現場レベルでは言われていたことが、データとして確認できた」とするならば、なぜそうなのかを説明してみてほしい。「生活習慣が身についている」「正答率が高い」ことを無条件に善として判断する指標としていないか。
生活習慣を身につけること、正答率が高いことは悪いことではないかもしれない。しかし、それぞれの事情を顧みないのであれば、単なる押し付けに過ぎない。百歩譲ってそれらを目標にするとして、それを実現するにはどうしたらいいかの展望はないのか。
一斉にやればいいということでもない。アンケート調査が適切だったか、誘導はなかったか、統計処理は適切にできていたか、検証しておくことはたくさんあるだろう。それらを手抜きせずにきちんと(しかも先入観なしに)実施したか。
ただ単に「生活習慣を身につけた子はアタマがいい」とするだけではまったく意味がない。「アタマがいいから生活習慣が身についた」など、言い換えはいくらでもできそうだ。
学業の優劣をエサに「生活習慣」という枷をハメようという魂胆なら、もとより願い下げだ。