人死にが出ても「自己責任」

慎太郎キレた…三宅島レース批判に「コース見てこい」(ZAKZAK 2007年2月26日(月))

東京都の石原慎太郎知事(74)が三宅島の復興策として進めている一般道路(公道)でのオートバイレースに、専門家から「殺人レースだ。絶対にやめるべき」と批判が噴出している問題で、石原氏は23日、「レースは危険があるからエキサイトする。ある程度ライダーの自己責任もある」と語った。
この問題は同日の東京都議会の予算特別委員会でも取り上げられたが、途中、石原氏が「見てこい、おまえも。反対ばっかしないで」とヤジをとばす場面も。議会後には報道陣に「(マン島レースに比べたら三宅島の道は)余裕がある。一度やってみないと分からない」と述べ、三宅島レースを開催する方針を明言した。



こういうのを称して「品性下劣」と言うんじゃないだろうか。「危険」な「レース」に「エキサイトする」と言いながら、その危険を背負うのは「ライダーの自己責任」と言い放つ。しかも、危険かどうか、指摘されたような「殺人レース」かどうかは、ライダー達に命を賭けさせて「一度やってみないとわからない」と嘯く。
見てきた専門家から「不可能」との指摘を突きつけられていながら「見てこい、おまえも」とはいったい何様のつもりだ。「走ってみろ、おまえも」と切り返してやりたいところだ。
もしかして、マン島で前田選手がクラッシュしたときも「エキサイト」したのだろうか。だとしたらなおさら、そんな人間にレースを主催させてはいけない。レースをコロシアムでの「死闘」とでも勘違いしているに違いない。
2003年4月に鈴鹿でクラッシュした加藤大治郎選手が亡くなった後、多くのライダーが「命懸けでレースをしているわけではない」と口にしている。危険だとわかっているコースで行われるレースに参加する選手はまずいないだろう。少なくとも、レースが成立するだけの参加が集められるとは思えない。
どんなに安全に配慮しても、不測の事故が起こる可能性はある。それを限りなくゼロに近づけようと関係者は努力している。その関係者が、三宅島でレースをするのは「不可能」で「殺人レース」になりかねないと提言しているにも関わらず、それらに耳を貸さず「反対ばっかするな」と声を荒げるとは、とうてい尋常なアタマを持っているとは思えない。
人を危険に晒す可能性があるのであれば、慎重にも慎重を期し、入念な検討と準備を怠らず、真摯に耳を傾ける姿勢が是非とも必要だ。
この石原という人間にはそうしたことがまったく感じられない。人を戦場に赴かせ、のうのうと踏ん反り返っているタイプなのではないか。そして、前線の状況を耳にしてエキサイトする…
これはもう東京都だけの問題じゃないだろう。4月にはキッチリ落選してもらわないと本当に困ったことになる。


<参考>
サヨナラ 石原都知事