任命権者の責任は重大

赤城徳彦農相が辞任した。官邸スジは「首相が呼んで辞表を書かせた」と更迭との印象を醸し出そうと躍起だし、農相は「前日から考えていて、当日の業後に首相を訪ねようと思っていた」「自分で辞表を書いた」と自発的辞任と言いたそうだ。
閣僚人事において、誰が任命し誰が辞めさせるかとても重要だ。特に今回のような「超不祥事」については、不祥事自体の責任は本人にあろうが、なぜそのような人物を選んだか、どのように辞めさせたかというのは大きな関心事となる。
赤城氏が農相に就任した経緯からして、故松岡氏の事務所費、緑資源との癒着が問題視され自殺、その後継としての抜擢だった。フタを開けてみれば赤城氏も同様の問題を抱え、しかも事務所費については次から次へと疑惑が明らかになった。更迭を確実にしたのではないかと言われる疑惑は共同通信が暴露した。


領収書と異なる郵便局記載 赤城農相の党支部報告書(共同通信 2007年8月1日(水))

赤城徳彦農相(衆院茨城1区)が代表を務める「自民党茨城県第1選挙区支部」(水戸市)の2004年分の政治資金収支報告書で、約12万円の印刷物発送費について、添付された領収書とは異なる郵便局名が記載されていることが1日、分かった。
赤城農相の事務所は「完全に間違いだ。近日中に、報告書を訂正したい」としている。
(中略)
共同通信茨城県選挙管理委員会に情報公開請求した収支報告書によると「機関紙誌の発行事業費(宣伝事業費)」のうち「印刷物発送費」として、04年2月16日に6万5390円、2月17日に5万3120円を、水戸中央郵便局にそれぞれ支払ったと記載されている。
ところが、報告書に添付された領収書のコピーは、16日分は水戸米沢郵便局、17日分は水戸駅前郵便局が発行したものだった。

今まで出てきた問題と併せてみれば、いかに赤城氏の資金管理がずさんだったかよくわかる。そしてそれをずっと首相は擁護してきた。「たったの800円で辞任要求するのか!」と口を極めて反論していたことを思い起こしておく必要がある。故松岡氏の時も柳沢氏の時も最初は問題視しない姿勢だった。その結果3人の辞任を含む4人もの閣僚交代が発生しており、首相の任命権者としての認識やら指導力やらについては甚だ大きな疑問符を付けざるを得ない状況だ。
自民党では政治資金について「徹底調査」をするような意向もあるらしいが、事務所費については伊吹氏や中川氏など他にも疑惑が囁かれている人物がいるのだから、何か出てくりゃ大騒ぎになるだろうし、何も出てこなけりゃそれはそれで「お手盛り」批判が噴出するだろうし、いずれにしても信頼を回復する手だてにはならないだろう。参院選の自民大惨敗の原因が赤城問題だけと矮小化しようともしているようで、まったく自覚のないこと情けない限りだ。
とにかく、大臣が更迭だか辞任だか3人、自殺者1人もいて、参院選は歴史的大惨敗、国会運営は強行採決の連発、年金対策は結局何も手を付けてないのと同じような状況、こんな前代未聞のとんでもない内閣の中心にいる安倍氏がどんなに「厳しい状況だが、どういうことがあっても、私は首相をやらせていただきます」とほざいたって、誰がそれを支持するものか。
責任感も指導力もない人物に、「首相」という職務が務まろうハズがない。早くお辞めいただきたい。