ことば

「『旧』教育基本法」の生かし方

定義集--大江健三郎「【後知恵の少しでも有効な使い方】 心に「教育基本法」を」(朝日新聞2006年12月19日(火)朝刊) (前略) 私らの世代より年長の者ならば、戦中のこの国、地方公共団体、また「隣組」として制度化された近所の目が、そして権力を持つ家族…

太田光「私と愛国(1) - 表現しきれぬ思い大切 いろんな心共存がいい」(朝日新聞2006年5月24日(水)夕刊)

(前略) 法で愛国心と書かれても、心までは書き換えられない。学校で教えてもその通りに育つかというと、やわじゃない。自分は自分だと思う自由は絶対侵害されないと思うんです。たかが法律、たかが教育。人間の心の強さを僕は信じたい。 人間の心の強さは…

「高木敏子さんからあなたへ - 過ち繰り返さぬよう 心の輪を結び広げて」(朝日新聞2006年1月28日(土)朝刊)

大事なことば。 (前略) 戦争を知らない子どもたちの、さらにその子どもたちにお願いです。戦争を起こすのは人の心です。戦争を起こさせないようにするのも人の心です。戦争を起こしてもいいという心を持つ人が増えたら、過ちが繰り返されてしまうかもしれ…

今、愛し合うとき - 10年ぶりの新作 スティービー・ワンダーさんに聞く「私の神は戦争を考えない」(朝日新聞2005年11月23日(水)朝刊)

今、愛し合うとき - 10年ぶりの新作 スティービー・ワンダーさんに聞く「私の神は戦争を考えない」(朝日新聞2005年11月23日(水)朝刊) 「キリスト教徒やイスラム教徒で、口では神に仕えるといいながら、本当にはそうでない人々のことを歌っている。破壊や爆…

「井筒和幸さんからあなたへ - 隣のカノジョに教えてやって この世の狂気を」(朝日新聞2005年9月17日(土)朝刊)

人ごとでなく、当事者として。 (前略) この先世の中がどうなろうとも「戦争」にだけは、いくらお金を積まれてもアンタたちは行かないで欲しいんです。 (中略) 何処(どこ)か外国の大地か砂漠で、もしも「戦争」が起こされて、このニッポンが助太刀(す…

梅原猛「反時代的密語 - 日本の伝統とは何か」(朝日新聞2005年5月17日(火)朝刊)

近頃、教育基本法には伝統の尊重ということがうたわれていないので教育基本法を憲法改正に先立って改正すべきであると主張する人がいる。その人が伝統というものをどう考えているかはよく分からないが、どうやら教育勅語を日本の伝統に根ざすものと考え、教…

愛川欽也「学童疎開への思い - 憲法尊ぶ座標 一度もぶれず」(朝日新聞2005年3月22日(火)夕刊)

(前略) 終戦後、復員兵だった社会科の先生から、中学2年で「平和憲法と民主主義」を教わった。「国で一番大切な法律に、戦争をしないと書いてある。すごい憲法だ、と先生が言った。以来、ぼくの頭の中の座標は、この年齢まで一度もぶれたことがありません…

大江健三郎「伝える言葉 - 子供の記憶は正しい - 自由は「理性的な自己決定」」(朝日新聞2005年3月22日(火)朝刊)

(前略) さて私が戦後すぐ、先生や近くの大人たちによく言われた言葉として覚えているのは、「自由を履きちがえるな」。平和主義、民主主義、基本的人権については、直前まで別の考えだったかれらも、正面から否定することはしませんでした。ところが、人間…

渡辺えり子「おやじのせなか - 実家にあった光太郎の詩集」(朝日新聞2005年1月30日(日)朝刊)

(前略) 父の住む山形の実家には、高村光太郎の直筆サインが入った詩集「道程」があります。なぜそんなものがあるのか、長い間知りませんでした。 戦時中の学徒動員で、父は戦闘機を造る東京の飛行機工場で碇盤工をしていました。あるとき工場近くで大きな…

大江健三郎「伝える言葉 - 未来への未練 - 老人はなぜ悲しげなのか」(朝日新聞2005年1月25日(火)朝刊)

(前略) 将来、こういうことをやりたい、と思っている。逆に、こういうことが起こってはならない、起こりそうなら、体を張ってもとどめたい、と考えている。それが、やりたいことはできず、起こってはならないことが起こりつつある。その将来が、無念でなら…

不戦支えた「留保の言葉」(朝日新聞 2005年1月13日(木) 朝刊「オピニオン」欄)

「私たちがいる所 6」戦後60年から 詩人 長田 弘 - 戦後60年というのは、昭和の戦争が終わってから60年が過ぎたという数え方です。60年というのは本卦(ほんけ)がえりして、ふたたび初心にかえるべきときです。そうであれば、昭和の戦争に敗れて戦争はし…

大江健三郎「伝える言葉 - 読みなおし続ける - 自分の命生かす共生を」(朝日新聞2004年11月16日(火)朝刊)

『あらしのよるに』について言及があったので。 (前略) その上で、『あらしのよるに』のしめくくりが、友達のために命を投げ出すというシーンであることに、他の書き方はないだろうか、と思いました。そこを踏みとどまって、苦しい旅をするヤギとオオカミ…

「日本人は第2次世界大戦を反省していない」村上春樹氏インタビュー

「日本人は第2次世界大戦を反省していない」村上春樹氏インタビュー(中央日報 2008年4月9日(水)) 「突然残忍に変わる性向が日本人には強い」 30年以上、話題作を出し、韓国でも人気を集めている日本の小説家、村上春樹氏(59、写真)が「日本人には…

玄侑宗久「本当の道徳の授業では、教師が教えるのではなく自分の生き方をかけて一緒に考えるしかない」

特集ワイド:言いたい! 道徳の成績評価(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年4月16日(月)) 政府の教育再生会議第1分科会は、小中高の「道徳の時間」を正式教科にする方針を打ち出した。成績評価方法も今後の検討課題とされるが、心の問題である道徳を評価…

河野洋平氏「知的に誠実ではない」

従軍慰安婦問題:「うそと騒ぐのは誠実ではない」河野議長(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年3月29日(木)) いわゆる従軍慰安婦問題をめぐり、河野洋平衆院議長が元慰安婦への支援活動を行ってきたアジア女性基金(理事長・村山富市元首相)のインタビュー…

小熊英二「〈民主〉と〈愛国〉」インタビュー

小熊英二さん『〈民主〉と〈愛国〉』を語る(上)「『七人の侍』をみて、「これが戦後思想だな」と思った」 ■「つくる会」に対抗したかった ――小熊さんにこれだけの大著を書かせた動機はなんだったのですか。 ★前著の『<日本人>の境界』で戦後沖縄の復帰運…

「『旧』教育基本法」の生かし方

定義集--大江健三郎「【後知恵の少しでも有効な使い方】 心に「教育基本法」を」(朝日新聞2006年12月19日(火)朝刊) 高校の一年生でしたが、野球の盛んな地方で、野球部が(私の受けとめでは)無法なことをやり、先生方は大目に見ているし、周りの生徒たち…

鶴見俊輔さんと語る「国家を超え 生きる流儀」(朝日新聞2006年11月28日(火)朝刊)

鶴見俊輔さんと語る「国家を超え 生きる流儀」(朝日新聞2006年11月28日(火)朝刊) 戦乱と干ばつにさらされたアフガニスタンとパキスタンの国境地帯から、日本やアジアはどう見えるのか。現地住民たちの命を支える活動に身を投じてきた日本人医師・中村哲さ…

灰谷健次郎さんを悼む「ワンパクを愛し 愛された」永六輔(放送タレント)(朝日新聞2006年11月27日(月)夕刊)

灰谷健次郎さんを悼む「ワンパクを愛し 愛された」永六輔(放送タレント)(朝日新聞2006年11月27日(月)夕刊) 灰谷作品で僕が愛読しているのは「ろくすけ どないしたんや」(理論社)です。 その理論社を作り、灰谷さんを育てた編集者の小宮山量平さんとば…

加藤周一「二〇〇六年十一月」(朝日新聞2006年11月27日(月)夕刊)

加藤周一「二〇〇六年十一月」(朝日新聞2006年11月27日(月)夕刊) 二〇〇六年一一月に太平洋の両岸でおそらく歴史に残るだろう二つの事件が起こった。米国ではいわゆる「中間選挙」での共和党の大敗、日本国では衆議院での与党による「教育基本法」(以下教…

「我慢せず学校から逃げよう」

私の視点 ウイークエンド- いじめ自殺「我慢せず学校から逃げよう」雨宮処凛(作家)(朝日新聞 2006年11月11日(土)朝刊) 北海道や福岡県など各地でいじめ自殺が相次ぎ、学校や教育委員会の対応が批判を浴びている。助けを求める声に耳をふさぎ、事件など…

加藤周一「夕陽妄語 − 核兵器三題」(朝日新聞2006年10月25日(水)夕刊)

加藤周一「夕陽妄語 − 核兵器三題」(朝日新聞2006年10月25日(水)夕刊) 核兵器の歴史も今では半世紀を超える。その間に米ソ間の「冷戦」が始まり、終わり、最近朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)の核兵器の潜在的脅威が語られている。新聞雑誌の記事を…

「折々のうた」にて

折々のうた 大岡信(朝日新聞 2006年10月5日(木)朝刊) 慰霊碑は戦後に建ちて立ち続けやがて戦前になるか摩文仁(まぶに)よ 古堅喜代子(ふるげんきよこ) 『長母音の島』(平一八)所収。作者は那覇市に生まれ、沖縄県で高校教師を続けてきた人。教壇か…

政治の言葉

袖のボタン - 政治と言葉 丸谷才一(朝日新聞 2006年10月3日(水)朝刊) 小泉前首相の語り口はワン・フレーズ・ポリティクスでいけないという、あの非難を耳にするたびに、おや、と思った。物心ついてからこの方、日本の政治はみなワン・フレーズであったか…

「自分の愛国心が他より優れている」という誤認を戒めよ

思潮21 - 「時代の空気」について 「自国中心」で険悪に 米国引き込む役割を 寺島実郎(朝日新聞 2006年10月2日(月)夕刊) 私にとって、故郷札幌の藻岩山は最高の山である。その麓(ふもと)に卒業した高校があり、青春の思い出と重なるからである。人間は…

加藤周一「夕陽妄語 − 私が小学生だった時」(朝日新聞2006年6月21日(水)夕刊)

加藤周一「夕陽妄語 − 私が小学生だった時」(朝日新聞2006年6月21日(水)夕刊) 世間で子供の教育の話が取り沙汰(ざた)されると、私は自分が小学生であった頃のあれこれを思い出す。そして二つのことを考える。第一に、社会は教育を必要としていること、し…

室井佑月「私と愛国(6) - 心教えるのは親の役目 命与えられた事に感謝」(朝日新聞2006年5月30日(火)夕刊)

国を愛することって、法律で押しつけられるものではないと思う。心の問題は答えが一つしかないものではないし、小説のテーマになるようなものだから、教科書にちょっと書くぐらいで伝わるとは思えない。そんな大切なことを子どもに伝えるのは子どもを一番愛…

林真理子「私と愛国(5) - 表現しきれぬ思い大切 いろんな心共存がいい」(朝日新聞2006年5月29日(月)夕刊)

オリンピックで日の丸が揚がり、君が代の歌が流れると素直に感動します。学校の卒業式や入学式で起立しない、君が代を歌わないという姿をみるとマナー知らずだと不愉快に感じるけど、露骨に「愛国心」を持ち出すことも嫌。そんな矛盾した感情を持ってます。 …

浅野史郎「私と愛国(4) - 「右向け右」行政は稚拙 大切なことはほかにも」(朝日新聞2006年5月27日(土)夕刊)

知事をやっていて、いろいろな部局をみていると、福祉関係の職員なんかは必死ですよ。独自色を出して、他県と差別化しようと。各県がそれぞれ創意工夫をし、「これがいい」となると、よそもそれにならいます。 ところが、教育委員会はすごく楽なんです。教育…

永井愛「私と愛国(3) - 強制ばかばかしすぎる 地球市民の意識育たぬ」(朝日新聞2006年5月26日(金)夕刊)

卒業式や入学式で起立しなかった教師の大量処分者が出たことを新聞記事で見て、びっくりしました。冗談じゃないかと。処分された人の本を読んだり話を聞いたり、裁判所に傍聴にも行き、「歌わせたい男たち」という芝居を作りました。 学校現場で今起きている…